こんばんは、うえだです。
先日、嵐ライブツアー『「untitled」』に行ってきました。もう、1カ月以上前の話です。これはそれを見た夜に書いた、ライブレポートのようなもの。某投稿サイトに送ったのですが掲載されなかったので、改めてこちらに残します。ライブレポートの文体で書くのは初めてなので、ちょっと慣れない感じありますがご容赦くださいませ。
ネタバレしますので、映像化まで知りたくない!という方はぜひ回れ右をお願いします。
----- 回れ右ライン ------
嵐というアイドルグループに、どんな印象を持つだろうか。仲良さそうにしている姿、安心な男子。バラエティで一言もしゃべらないのに笑いを取る人、キャスターとして日本の今を伝える人、動物と戯れて彼が笑えば場が和むような人、紅白歌合戦の司会を務めた人、やたらと野心強そうでカッコつけている人。ほかにも歌番組でカメラ目線をためらわない姿や演者としてドラマや映画に出ている姿もある。どれも間違っていないと思うし、それこそがテレビやメディアを通して見える嵐の姿である。
でも、嵐の見せたい「今の嵐」は、やっぱりコンサートに詰まっている。ライブ「untitled」を見て、そう確信した。
コンサート会場に入るとセンターステージには、額縁に飾られた様々な絵が写されたモニターがあった。開演時間に合わせて徐々に暗転した会場でモニターに映し出されたのは、金色の角縁と”ARASHI LIVE TOUR「untitled」”という文字。そしてメンバー5人でそれを読み上げる声。実にシンプルな始まり方で、いつものようなメンバー紹介の映像は一切差し込まれることなく、会場は赤いライトが灯りそれに誘われるように制御された手元のペンライトも赤く光り出す。
1曲目の『Green Light』のイントロが始まると緑のレーザーに合わせて、今度はペンライトが緑色に変わる。メンバーが踊りだせば、いつもより2倍近く大きいであろうセンターステージのモニターにその姿が映し出される。ステージの足元から撮るカメラが映し出すメンバーの姿は、臨場感が溢れていてまるで1列目でその姿を見ているようだった。
今回の嵐のライブでは、いくつもの挑戦があった。カメラワーク、スマホで撮影しながらのステージ、ユニット曲、これまでにない歌割り、システムによって制御されたライティング。どれもがこれまでの嵐を上回る、今の嵐を果敢に表現したプログラムだった。もちろん、いつもどおりのこちらが飽きるほどの感謝を加えながら。
ライブ終盤、組曲として話題を集めていた『Song for you』が大野智の声で幕開ける。オーケストラの音楽と映像と共にくるくると表情が変わっていく曲が進んでいった。「聞きなれないネーミング 突然乗り込んだCruiser」はハワイでのデビュー会見のこと。「見上げる無数のバルーンが都会の夜空を翔けていく」は国立競技場公演で見た景色。嵐の歴史を語る上で外せない景色のフレーズが散りばめられながら、旅はまだ続いていくと語られる。自分たちのことを歌いながらも、これから続く物語の先へ「連れていくよ」と宣言し、最後には「This song for you」と締める。なんとも嵐らしい曲ではないか。素晴らしい嵐のコンサートだった。
そう思った矢先に『「未完」』のイントロが始まったときに、やられたと思った。最後の最後に"「untitled」であること"、だからこそ見せられる挑戦的な姿勢をこの曲で表現するなんて、置き土産にしてはインパクトが大きすぎる。
もう前言撤回だ。こっちが、このタイミングでの『「未完」』こそが「嵐らしさ」じゃないか。嵐はいつだって、攻める人たちだった。今までだってそうだ。初めての国立競技場で「研いだ爪隠し牙をむく」という言葉を残し、10周年のお祝いのアルバムに「一皮二皮むいて行こうぜ」と忍び込ませる。
時代を切り拓くといきがっていたあのころを追い越して、すでにもう夢の先にいると自覚をしている。そんな彼らはこれからも前しか見ないし、進むためならひたすらもがく。そして挑戦的に「Do you wanna ride?」と言って曲は、ライブ本編は終わる。
忘れていた。嵐は、いつだってわたしたちを次の次元に誘う(いざなう)人たちだったと。
正直、最近テレビで嵐を見ていてもなんとも思わなくなっていた。テレビがおもしろいと思うことが減ったのは年齢のせいもあるかもしれないけれど、嵐に飽きてしまっていたのだと思っていた。でも、そうじゃなかった。テレビに映る嵐は、誰かが見せたい嵐にプラスアルファさせた姿であって、嵐が見せたい嵐はいつだって現状に満足できないもっと高みを目指している。(現状維持がどれだけ大変なのかを知った上でそうしている人たちでもある。)「untitled」は、その姿を鮮やかに魅せたライブだった。
嵐というアイドルグループは、いつだって攻めの姿勢を忘れていない。17年経っても、いつだってハングリーな5人であることに変わりないのだ。20周年を前に、きっと2018年も嵐は攻め続ける。